食後の血糖値上昇を抑える アーモンド食後の血糖値上昇を抑える アーモンド

  • アーモンドの特長
  • 検証・実験レポート

実証
アーモンドの食後血糖値上昇抑制効果

動物実験から判明
糖質摂取と同時にアーモンドを食べれば、食後の血糖値上昇が低く抑えられる。

アーモンドは、食後血糖値の上昇を抑制することが知られている。しかし、もっとも「適切なタイミング」やその「機能成分」に関する報告はなされていない。江崎グリコでは、将来のヒト臨床試験も見据えながら、マウスを用いた動物実験でその詳細を分析した。

Study1 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドを摂取するタイミング」の検証

【被験体】ICRマウス(オス・6〜8週齢)

【試験食】 3種の試験食を用意
① 皮つきローストアーモンドペースト水溶液(4g/kg)
② 難消化性デキストリン(0.4g/kg)
③ 蒸留水(対照)

【糖質】市販デキストリン

試験方法

一晩絶食させたマウスを以下2つの試験に供した。

① 3種の試験食を糖質摂取の事前(30分前)に投与する。

② 3種の試験食を糖質摂取と同時に投与する。

それぞれ糖質摂取後、0分・15分・30分・45分・60分・90分・120分時に採血(事前投与は30分前にも採血)し、血糖値およびインスリン値を測定。

[試験結果] 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドを摂取するタイミング」

アーモンドと糖質の同時摂取で、食後血糖値上昇は低下。
インスリンの分泌も促進された。

下のグラフは、一晩絶食させたマウスに対して、タイミングを変えて3種の試験食(①皮つきローストアーモンドペースト水溶液(4 g/kg) ②難消化性デキストリン(0.4 g/kg) ③蒸留水(対照))を投与した場合の、糖質摂取後の血糖値に与える影響を検証したもの。試験食投与タイミングとして、以下2種類を設定。
①試験食を糖質摂取の事前(30分前)に投与 ②試験食を糖質摂取と同時に投与。糖質として市販のデキストリンを1 g/kgで摂取させ、糖質摂取後、0分・15分・30分・45分・60分・90分・120分で採血し、血糖値の変化を検証した。(事前投与は30分前も測定)。

事前アーモンド投与時の糖質摂取後
120分間の血糖値推移
同時アーモンド投与時の糖質摂取後
120分間の血糖値推移
事前アーモンド投与時の糖質摂取後
120分間の血糖値推移
同時アーモンド投与時の糖質摂取後
120分間の血糖値推移

事前に試験食を投与した場合は、アーモンドペースト投与群と蒸留水(対照)投与群との間には、糖質摂取後の血糖値推移に大きな差異は認められなかった。
しかし、同時に試験食を投与した場合は、アーモンドペースト投与群において、蒸留水(対照)投与群に比べて、15分および30分後の血糖値が有意に低下した。
また、血糖値を低下させる作用を持つ血中のインスリン値を分析した(下グラフ)。アーモンドペースト投与群のインスリン値は、蒸留水(対照)投与群と比較して、投与15分後に有意に高値を示した。

同時アーモンド投与時の糖質摂取後の
120分間の血中インスリン濃度推移

Study1 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドを摂取するタイミング」の検証 まとめ

【糖質摂取30分前のアーモンド摂取】食後血糖値上昇は対照群と同程度

【糖質摂取と同時のアーモンド摂取】食後血糖値上昇は低下、インスリンの分泌も促進

もっとも効率よく食後血糖値上昇を抑制する「アーモンド摂取のタイミング」を検証したうえで、次は食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドの機能成分」についても検証するために、同様の動物実験を行った。

Study2 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドの機能成分」の検証

【被験体】ICRマウス(オス・6〜8週齢)

【試験食】 機能成分を特定するため、以下の試験食を用意 ※いずれのペーストもローストアーモンドをペースト化したもの
① 皮つきアーモンドペーストと皮なしアーモンドペースト
② 皮つきアーモンドペーストを遠心分離し分画した、3種の分画成分(①不溶性 ②水溶性 ③オイル)

試験方法 一晩絶食させたマウスに、試験食を糖質摂取と同時に投与。
それぞれ糖質摂取後、0分・15分・30分・45分・60分・90分・120分時に採血し、血糖値およびインスリン値を測定

[試験結果] 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドの機能成分」

皮つきと皮なしのいずれのアーモンドであっても、
食後血糖値上昇は抑制され、インスリン値も上昇(血糖値上昇抑制効果がある)。

下の二つのグラフは、皮つきと皮なしアーモンドを投与した後の120分間の血糖値および血中インスリン値の推移を示している。
血糖値については、皮つき群および皮なし群両群において、蒸留水(対照)投与群と比較して、投与15分後に(皮つき群では、加えて30分後にも)有意に低値を示した。
血中インスリン値については、皮つき群および皮なし群両群において、蒸留水(対照)投与群と比較して、総じて有意に高値を示した(インスリンの分泌が促進された)。

試験食および糖質投与後
120分間の血糖値推移
試験食および糖質投与後
120分間の血中インスリン濃度推移
試験食および糖質投与後
120分間の血糖値推移
試験食および糖質投与後
120分間の血中インスリン濃度推移

[試験結果] 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドの機能成分」

分画成分では、オイル画分にのみ違いが。
インスリン値に差は認められないが食後血糖値の上昇は抑制される。

また、3種の分画成分(①不溶性 ②水溶性 ③オイル)の比較においても、糖質摂取後120分間の血糖値および血中インスリン値を測定した。
血糖値については、オイル画分で、蒸留水(対照)投与群と比較し、投与15分後に有意に低値を示した。
しかし、血中インスリン値については、血糖値では抑制効果がみられたオイル画分においても、蒸留水(対照)投与群との差は認められなかった(画分の違いによるインスリン分泌への影響はない)。

試験食および糖質投与後
120分間の血糖値推移
試験食および糖質投与後
120分間の血中インスリン濃度推移
試験食および糖質投与後
120分間の血糖値推移
試験食および糖質投与後
120分間の血中インスリン濃度推移

Study2 食後血糖値上昇を抑制する「アーモンドの機能成分」の検証まとめ

【皮つき・皮なしの違いによる効果の違い】 皮の有無にかかわらず、
食後血糖値上昇の抑制&インスリン値の高値が
認められた。
(いずれもインスリンの分泌を促進し、
血糖値上昇を抑制する)

【分画成分による効果の違い】 アーモンドオイルが食後血糖値上昇を
有意に低下させた。
しかし、血中インスリン値は
他群との差は認められなかった。
(血糖値上昇は抑制されるが、
インスリンの分泌には作用しない)

アーモンドを摂取するタイミングと
機能成分についての総括

Study1とStudy2の実験結果を通じて、以下の2つの考察が導き出される。

  • ①アーモンドの食後血糖値上昇抑制効果は、糖質と同時に摂取した際に期待される。
  • ②食後血糖値上昇抑制効果は、以下「2つの作用」の組み合わせによると推測される。

※参考 江崎グリコのアーモンド研究の今後

ヒト臨床試験に向け、「アーモンドおよび機能成分の有効量の検討」や
「他のナッツ類オイルとの比較」などを実施
学会・論文発表活動を重ねながら、事業化・商品化への可能性を追求

今回の動物実験では、「食後血糖値の上昇を抑制するためにもっとも効率的なアーモンド摂取のタイミング」と「食後血糖値の上昇を抑制する機能成分」について検証がなされた。今後は、ヒトでの臨床試験に向け、「機能成分の有効量の検討」や「他のナッツ類オイルとの比較」を実施する予定である。これらの結果を学会や論文で発表しながら、同時に事業化や商品化の可能性も追求していく。

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