クラスターデキストリンは、江崎グリコが世界で初めて開発に成功した、分子内に環状構造を持つ高分子のデキストリン(糖質)である。トウモロコシ由来の澱粉を、やはり独自に開発した酵素ブランチングエンザイムで加工して作られた新素材だ。
このクラスターデキストリンは、従来のデキストリンと比べて平均分子量が大きく、かつ分子量の分布が狭い(一つひとつの大きさにバラツキが少なく均質な構造のものがそろう)という特性を持っており、水溶性と溶液安定性に富み、溶液の浸透圧が低い。
この特性を活用して「クラスターデキストリン配合ドリンク」を作成した。このスポーツドリンクは、充分な糖質・ビタミン・電解質を含んでも体液より低い浸透圧に設計できる。それにより、胃から腸へ速やかに移送されて素早く吸収される。エネルギー・水分補給に優れるため、スポーツ時のパフォーマンスを高めることができる。
■各糖質液(10%)の胃からの排出時間と浸透圧の関係このクラスターデキストリンは原料としても販売されており、エネルギー吸収が良いことから病院で検査食にも使用されている。また、食材を粉末化するときの基材として、吸湿防止や風味向上目的でも利用されている。さらには、味質改善の特性を活かした食品の酸味や苦みの抑制など、さまざまな用途で活用されている。 2008年からは、アメリカでも食品素材としての販売が可能になり、世界的な市場の拡大が期待されている。